【ヒトとトキ♯11】カリスマホストクラブ経営者・一条ヒカルさん「ホストだからこそ、マジメに一生懸命やり続けることが大事」

22歳で歌舞伎町ホストクラブの門をたたき、カリスマホストとして、またホストクラブ経営者として、その才能を遺憾なく発揮している一条ヒカルさん。なかでも、未経験者から数多くの“1000万円プレイヤーを誕生させるという独自のマネジメント力は、ホスト業界に留まることなく、さまざまな分野から注目を集めています。そんなホスト業界のリーダー的存在の一条さんに仕事や時間の使い方を伺いました。

ホストである前に人であれ。一生懸命さをウリに

――ホストクラブに足を踏み入れるのは初めてなのでドキドキしていますが(笑)、今日はよろしくお願いいたします!  

一条さん (爽やかな笑顔と心地よい声で)よろしくお願いいたします。気兼ねなくいろいろ聞いてくださいね。

――ありがとうございます! 早速、胸キュンしてしまいました(笑)。まずは現在のお仕事内容を教えていただけますでしょうか?

一条さん 僕はいま、全国で5店舗のホストクラブを経営していて。基本的に行っている業務は、従業員の教育と店を見ることがメインです。現場に立つことが僕の経営の仕方なので、毎日現場にいます。またその傍ら、テレビなどのメディア出演もさせてもらっています。

――毎日、現場にいらっしゃるんですね。プレイヤーとして、お客さまにつかれることもあるのですか?

一条さん 5年前に経営者メインとして動き出してからは、お客様に対して存分におもてなしすることが時間的に厳しくなっているので、プレイヤーとして店舗には立っていなくて。長年の常連のお客様がいらしたときなど、状況により対応することもあります。

――悲しまれているお客さんも多そうですね。一条さんが経営するgroup BJは、未経験者だけでお店を始めていると伺いました。このスタイルはホストクラブでも珍しいとのことで。

一条さん そうですね。うちは「歌舞伎町の異端児」と言われていて、この業界でこういったスタイルをしているのは僕たちのお店だけですね。業界的には経験者を雇うことが一般的ですが、うちは全然数字を持っていないホスト未経験者に入店してもらい、その子たちを1,000万円、1億円プレイヤーに育てあげることで、歌舞伎町で戦える店舗をつくっています。

――未経験者を育てることはかなり手間のかかることだと思いますが、なぜその手法をとられているのですか?

一条さん group BJは、ほかのホストクラブと差別化するために、「ホスト」と「アイドル」を掛け合わせた「ホスドル」というスタイルを確立していて。シャンパンコールにパフォーマンス性を取り入れたり、いまはできていませんが、ステージで踊るショータイムをつくったりし、それを一生懸命やることを心がけたんです。童貞で顔が良くなくて、しゃべりも下手だとしても、一生懸命頑張っている姿をお客様は面白がってくれるんですよ。

また、うちの会社は「ホストである前に人であれ」という教えがあり、従業員には礼儀、礼節、おもてなし力を徹底的に叩き込んでいます。ホストってなんとなく素行が悪いイメージがあると思いますが、そこでギャップを見せることで、お客さまによりファンになってもらえる。僕らは、ここに勝機を見出しているんです。

――具体的に、どういったことを大切にされているんですか?

一条さん チームワークをすごく大事にしたり、10分前行動をとらせたりと、ほかのホストクラブとは違ったルールがたくさんあります。売れている経験者は自分なりのスタイルが確立されていることが多いのですが、未経験者だとそのスタイルに合わせていちから一緒に戦ってくれるので、未経験者の子たちに入店してもらっています。

仕事のインプットも兼ねた趣味の時間

――そんな一条さんの1日と1週間のスケジュールを知りたいです。タイムスケジュール表を用意したので、書いていただけますか? 

一条さん コロナ禍でだいぶ変わっていて。コロナ禍前のものでもいいですか?

――もちろんです。よろしくお願いします!

一条さん わかりました。ざっと書いてみると、こんな感じですかね。

――睡眠時間がすごく短いのですね! 

一条さん 昔からショートスリーパーで寝る時間がいらなくて(苦笑)。現役時代はいまより働いていたので、睡眠時間はまだ短かったです。睡眠不足はパフォーマンスが下がると言われていますが、僕は10年間、仕事を休んだことはないです。移動中に寝たりと、自分のペースが確立できているので大丈夫なんです。

――雑務時間ではどんなことをされているのですか?

一条さん 銀行に行ったり、打ち合わせをしたり、取材をお受けしたりですね。また、従業員教育にかける時間も多いです。シャンパンコールやダンスを教えたり、従業員の個人ミーティングに当てたり。あと、店舗のPR用の動画を撮影したりもします。

――帰宅後の自由時間はどんなことをされているのですか?

一条さん お風呂に入ったり、YouTubeNetflixを見たりして、リラックスしています。だけど、その際も仕事につなげられないか常にアンテナは立てていて、インプットの意味合いもありますね。プライベートはあまりないかもしれません(苦笑)。

――YouTubeNetflixでのインプットも大事な時間なのですね。

一条さん いまの若い子たちがどういうものに惹かれているのかを知りたいんです。流行りは若い子からくるので、高校生の会話についていけないとダメだと思っていて。なので、TikTok Instagramなどもチェックして、従業員をバズらせる方法を探していますね。 

――従業員教育のためのインプットの時間になっているのですね!

一条さん そうですね。ただ僕もその時間が好きで、趣味みたいなものでもあります。

――ほかに趣味はありますか? スタイル抜群なので、トレーニングなどもされていそうだなって。

一条さん いえいえ、運動はほとんどしてなくて、家で筋トレをするくらいです。この発言をしたら嫌われるかもしれないですが、何を食べても太らなくて。めちゃくちゃ食べるし、現役時代はお酒も飲み、睡眠時間も不規則でしたが、この10年間は一切体重が変わってないですね。

――それはうらやましいです…。ご多忙かと思いますが、健康で意識されていることはありますか?

一条さん プライベートでお酒を飲まないことくらいですかね。実は僕、お酒が苦手なんです(笑)。もともと体が頑丈なんだと思います。

この仕事が好き。頑張っている自分でいられることが幸せ

――ホストはお客さまへのフォローも1つの仕事だと思いますが、現役時代はそこに時間を費やすことが多かったのでは?

一条さん そうですね。現役時代は閉店してから朝の7時くらいまでアフターすることも多かったです。また、朝起きると、女の子から毎日LINE300件くらいきているので、それを数時間かけて返していて。ホストは女性の話を聞くことが仕事なので、女の子とはずっと連絡をとっていましたね。やっていると習慣になってくるので、普通にこなせていました。

――何事も習慣化することは大事かもしれないですね。一条さんはどうやってスケジュールを管理されているのですか? 何か活用しているアプリなどはありますか?

一条さん 基本、Google カレンダーに入れてるぐらいですね。あと、LINEの「リマインくん」機能かな。友だち登録をすれば、LINEのトーク画面をリマインダーとして使えるようになるんです。

たとえば、「毎週、月曜朝9時ミーティング」と打ち込んだら、その時間にリマインドしてくれて。LINEは絶対見るので、めちゃくちゃ便利ですね。スケジュールを忘れがちなので、Googleカレンダーにも入れ、このリマインド機能と二段にして、取りこぼさないよういしています。

――いまは経営者として、若いホストの方々相手にミーティングをすることも多いと思いますが、ミーティングを効率的に回すために意識していることはありますか?

一条さん 若い男の子たちは集中できる時間が限られているので、簡潔にわかりやすく話すことを大事にしています。あと、最初に聞きたくなるようなワードを入れ、面白そうと相手に興味を持たすことも大事ですね。

――なるほど。ここ数年はテレビにもご出演されていますが、もともと興味があったのですか?

一条さん 実はもともと芸能人に憧れていて、10代の時に芸能事務所に入ったこともあったのですが挫折して。それからこの仕事をマジメにやっていたら、いつの間にかテレビに出演できていました。『新・日本男児と中居』(日テレ)で、中居正広さんの番組に出られたときは、すごく感動しましたね。マジメに一生懸命やり続けることの大事さを改めて実感しました。

―― 仕事時間との付き合い方をひと言で表すと?

一条さん 焦らず、時間に支配されないということですかね。僕は仕事柄、日々スケジュールが違うので、ルーティンに捉われすぎてしまうと、逆に自分の首を絞めてしまう。なので、オフとオフをしっかり分けるということは意識だけして、さまざまな仕事に取り組んでいます。忙しく睡眠時間を確保できないことも多いですが、僕はこの仕事が好きだからやっていて。頑張っているのが楽しいし、とても幸せなんです。死ぬまで仕事をしているかもしれないですね(笑)。

Profile
group BJ ONE’S CREATION代表取締役社長。
1987年生まれ。富山県出身。ホストクラブを5店舗経営。独自の教育方針で多くの1,000万プレイヤーを誕生させる。未経験者スタートからの売上100万達成率は97%以上で、未経験者から1年半で1億6千万プレイヤーも輩出。未経験者のみで店舗の売上「月間1億円」を突破させる。経営理念とマネジメント力はホスト業界に留まらず、他業種のさまざまな企業からも賞賛されている。『スッキリ』『ものまねグランプリ』『新・日本男児と中居』『恋する36時間』(日本テレビ系)、『買えるバトルクラブ』『株式会社ニシノコンサル』『ヒロミ・指原の“恋のお世話始めました』(AbemaTV)など、メディア出演も多数。ハロウイン企画を自粛し、ホスト50人を率いて早朝からゴミ拾いに行き話題を集めたことも。group BJ ONE’S CREATION:https://www.group-bj.net/
一条さんのTwitter:@funakurakko
一条さんのnote「ホストクラブの儲けの秘密」:https://note.com/funakurakko/
撮影/酒井恭伸
取材・文/高山美穂