日本は海外に比べてテレワークの普及が遅れている状況が続いていました。
しかし、新型コロナウイルスの影響を受けて日本でもテレワークが大きく推進されるようになり、ビジネスパーソンならテレワークを意識せざるを得ない状況が生まれました。
税金についても変化が生まれていることも考慮し、今後のテレワークについて考えてみましょう。
日本と海外でのテレワークの普及率比較
日本と海外ではテレワークの普及率に大きな違いがありました。
海外では自宅で効率よく働ける点が着目されて積極的に取り入れるケースが多かったものの、日本ではオフィスワークを続ける傾向がありました。
ITツールの活用があまり進んでいなかった影響もあり、テレワークを推進するインフラができていなかったのが大きな原因です。
しかし、新型コロナウイルスの影響によって日本でも海外でもオフィスワークをするリスクが認識されて状況が一転しました。
日本では緊急事態宣言、海外でもロックダウンが実施され、仕事も可能な限り外出せずにおこなうことが求められるようになったからです。
その後のテレワークの普及率を日本と海外で比較してみましょう。
・日本では東京を中心にテレワークが普及した
日本では2019年末時点でテレワーク普及率は20%程度でしたが、新型コロナウイルスの影響による一回目の緊急事態宣言と共に急速に普及しました。
中心になったのは東京で、2020年4月時点で24.0%だった普及率が4月には62.7%になっています。
その後も50%程度で推移を続けています。テレワークの普及率については調査機関による差がありますが、二倍以上になっているのは確かです。
・海外のテレワーク普及は早かった
海外でも新型コロナウイルスの影響を受けてテレワーク普及率が上昇しました。
ただ、網羅的な統計によって正確な普及率が公開されているわけではないのが2021年6月における実態です。
2018年までにおこなわれた調査でも海外における普及率の高さが明らかに示されていました。
日本が2018年の時点で19.1%だったのに対し、アメリカでは2015年の時点で既に85%に到達していたというデータがあります。
2010年の時点でイギリスでは38.2%、ドイツでは21.9%、フランスでは14.0%でした。
日本での調査とは時期が違うことを考慮すると、普及が早かったのは明らかでしょう。
ドイツでは2020年時点で労働者の25%がテレワークになっていると推計による発表をしています。
あまり増えていないという誤解を生みがちですが、上述の統計調査は企業に対して実施されたのに対し、このドイツの調査では労働者への調査です。
企業でテレワークを導入していても全労働者がテレワークをしているとは限らないため、全労働者のうちのテレワークをしている割合はもっと低かったでしょう。
企業単位で21.9%の普及率から労働者単位で25%に伸びたのは大きな普及を見せたことを示しています。
テレワークに関連する税金の状況
日本では会社員や公務員として働いていると税金に対する意識が低いこともあります。
海外では確定申告が義務付けられていて所得税は自分で計算して納めなければならないのが一般的ですが、日本では源泉徴収と年末調整によって勤め先が所得税を納めてくれるからです。
海外ではテレワークをすると自宅で余計に電気代やインターネット代などがかかります。
その負担を会社が払うべきだという考え方が初期からありました。
労働者としては確定申告のときに経費として課税対象となるかどうかにもかかわるため、テレワークが進められている中で大きな議論を巻き起こした点です。
日本では給与所得控除が適用されるため、給与を受けている仕事については経費を計上することはできないのが原則です。
ただ、電気代などの支払いが発生しているのは確かでしょう。
海外での事例があったことからテレワークを導入するタイミングで企業側が対応を決めるケースが多く、トラブルがあまり起こらずに済んでいます。
ただ、企業としてはテレワークのために従業員に支払った金額が非課税になるのかどうかが問題でした。
2021年になってようやく国税庁からの見解が出されて、企業としての対応を明確にできるようになっています。
通信費や電気料金については仕事に必要な分をきちんと計算すれば経費として計上できるのが原則です。
そのため、企業としてはテレワークで従業員が必要とするものは経費で買わせるのが容易になりました。
クラウドサービスによる業務ツールなどの利用料金を従業員が払っている場合にも、業務に必要で使用しているのなら経費として支給できます。
そのため、テレワークをする際には業務効率を上げることを考え、勤め先に相談して必要なツールを取り入れるのが重要になっています。
普及率の上昇と税金問題の解決を受けてテレワークを前向きに検討しよう
テレワークは海外に比べて普及が遅れていたものの、新型コロナウイルスの影響を受けて日本でも急速に浸透しました。
税金の問題も国税庁の見解が明らかにされて解決に向かい、企業としてはますますテレワークを推進しやすくなっています。
ビジネスパーソンとしてはこの機会を生かしてテレワークを検討するとともに、テレワークに必要なツールなどを勤め先に要求して効率的に働けるようにするのが大切です。
【参考サイト】
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