暗闇の中でボクシングを楽しむフィットネスジムを展開する「b-monster」。代表を務める塚田眞琴さんは駒澤大学を中退後、2016年3月、21歳のときに姉の美樹さんとb-monster株式会社を設立しました。現在、起業から5年で上海や台北など国内外合わせて12店舗を展開する同社。2021年5月には、昆虫食をメインに提供するサステナブルカフェレストラン「EAT for E」を渋谷にオープンしました。多方面に活躍の幅を広げる同社の設立のきっかけから、忙しい中での時間の使い方までお聞きしました。
会社設立のきっかけは、姉と行ったボクシングジムの体験
――現在のお仕事の内容を教えてください。
塚田眞琴さん(以下、塚田さん) 都内を中心とした暗闇ボクシングのフィットネスジムを全国・海外で12店舗運営しています。また、2020年10月にリリースした「buddies(バディーズ)」というオンラインフィットネスアプリや、今年5月にオープンしたバーチャルトレーナーのフィットネスジム「TOY VOX」、そこに併設する昆虫食をメインにしたサステナブルカフェレストラン「EAT for E」も運営しています。私は現在、バックオフィス業務をメインにマーケティングや広報、経営業務を行っています。
――大学を中退後、2016年に姉妹で会社を設立されていますよね。なぜ起業することに?
塚田さん きっかけは、ダイエットのために姉と2人でボクシングの体験教室に行ってみたことでした。その際、室内の照明が明るく、周囲が気になってプログラムに集中できないと感じました。そんな感想をSNSにアップしてみたところ、アメリカに留学している友人から暗闇で行うボクシングがあると教えてもらいました。ちょうどアメリカに行く予定があったので、姉と2人で暗闇ボクシングを体験してみると、すごく楽しくて。それで日本でも暗闇ボクシングのジムを経営しようと思いました。
――第1号店となる銀座スタジオは、オープン2カ⽉で⽬標集客⼈数の1,000⼈を超えたとお聞きしました。ズバリ、成功の秘訣は?
塚田さん とにかく、タイミングがよかったことです。また、既存のボクシングジムは女性用ロッカーが少なかったり、更衣室が綺麗ではなかったりといった他店の課題に気づけたことも大きいですね。女性のニーズを満たすような、スタイリッシュに通えるボクシングジムに、偶然にもボクシング需要がマッチしたことが勝因かなと思います。後程の話にも通じますが、とにかくスピード感を常に大事にしています。
――仕事のどんなところにおもしろさを感じますか?
塚田さん 社内ミーティングで、いい雰囲気を保ちながら多くのアイデアが出たときです。社員のみんなが楽しく仕事をしている場面を見ると嬉しいですね。また、全社ミーティングを年に1回行うのですが、多くの仲間と仕事をしている実感があり気も引き締まるので好きです。
パフォーマンスのクオリティを保つため、自らチェック
――そんな塚田さんの1日と1週間のスケジュールを知りたいです! タイムスケジュール表を用意したので、こちらに書いてもらえますか?
塚田さん 1日のスケジュールは日によって違いますが……こんな感じです。9時に起床し、10時までに身支度を済ませます。10時から20時までは社員とのミーティングや諸々の書類作成などの業務を行いながら会社で過ごして、20時頃に帰宅。そのあとは残った仕事を片付けたり、インターネットのニュース記事や本を読んだり、テレビを見て過ごしますね。夜寝る時間は結構遅くて、深夜の3時頃になることが多いです。私、あまり眠くならないんですよ。眠いから寝るというよりは、体のために決まった時間に寝るというスタイルです。
――日々のルーティーンはありますか?
塚田さん 朝起きてすぐにベッドから出られないので、覚醒するまでスマホでネットのニュースを見ています。朝ごはんはプロテインと決めていますね。
――1週間のスケジュールを見るとミーティングが多めですね。
塚田さん そうですね。ミーティングの前後で月曜日にラジオのお仕事があったり、「EAT for E」の新メニューの試食をしたり、会食があったりします。他にも、b-monsterのフィットネスプログラムのチェックや研修を終えたパフォーマー(フィットネストレーナー)をメンバー(会員)の前にデビューさせるかどうかの最終チェックは、私が行います。
――塚田さんがチェックするんですね!
塚田さん はい。メンバーの皆さんには常にハイクオリティなプログラムを受けていただきたいので、パフォーマーの高い水準を保つために妥協はしません。私自身、一緒に働く仲間として一人ひとりのパフォーマーのことを理解しておきたいと思っています。
仕事と遊びの時間を区切らずに、情報をインプット
――スケジュール管理はどのように行っているのですか?
塚田さん スケジュール管理は、GoogleカレンダーなどすべてGoogleのサービスを使用しています。紙の手帳はどこかになくしてしまうリスクがありますし、社員のみんなとスケジュールを共有したいのでクラウドサービスを活用しています。
――仕事とプライベートのオンとオフはどのように切り替えていますか?
塚田さん 私、仕事とプライベートのオンオフが本当にないんです。常に仕事の時間であり、遊びの時間でもある。漫画を読んだり、映画を観たりしていても、頭のどこかで常に仕事に活かせないかと考えていますね。そのような趣味の時間も仕事につながっているので、時間の使い方としてはうまくいっているのだと思います
残された時間をどう使うかは自分次第
――時間との向き合い方のコツはありますか?
塚田さん 時間はとらえ方次第だと考えています。1日24時間を長いと思えば長いし、あっという間だと思えば瞬く間に1日が過ぎてしまう。残された時間をどのように使えるか、常に意識しています。
――なるほど。塚田さんの時間術はありますか?
塚田さん 「やりたいと思ったらすぐやること」です。何事もとにかくスピード感を持って行うことを意識しています。この先どうなるかを今考えるのではなく、やってみてから考えることにしていますね。
――塚⽥さんのような女性起業家、経営のプロフェッショナルを⽬指す人へのアドバイスやメッセージがあればお願いします。
塚田さん 一番伝えたいのは、「まずはやってみる」ということです。起業しようかどうか迷っているという相談も多く受けますが、やはりやらないことには何も始まらない。だから勇気を出して、まずは一歩を踏み出してみるのもいいと思います。
塚田眞琴(つかだ まこと)
b-monster株式会社 代表取締役。
1994年東京都生まれ。駒澤大学法学部政治学科を2年生で中退。2016年3月、21歳のときに姉の美樹さんとb-monster株式会社を設立した。同年6月、暗闇ボクシングのフィットネスジム「b-monster」の第1号店を銀座にオープン。都内を中心に店舗を拡大し、現在、上海や台北など国内外合わせて12店舗を展開する。2021年5月、バーチャルトレーナーのフィットネスジム「TOY VOX」、併設で「サスティナブル」がテーマの昆虫食をメインにしたカフェレストラン「EAT for E」を渋谷にオープンした。
b-monster:https://www.b-monster.jp
EAT for E:https://eat-for-e.jp
塚田眞琴さんのTwitter:@makoto_tsukada
撮影/武石早代
取材・文/小山田滝音